先発ローテーション入りは確定か
井川「とりあえず投げとけ」
ヤンキースの井川慶の救援デビューは、意外な形で訪れた。28日(現地時間)、ヤンキー・スタジアムで行われたレッドソックスとの一戦。ヤンキース先発のジェフ・カーステンズが初回、先頭打者の打球を足に受けるアクシデントに見舞われ、打者2人に投げたところで負傷降板。そこで、急きょマウンドに上がったのが、井川だった。
「突然だったのでびっくりした」
試合後の会見で緊急登板の正直な心境を吐露した井川だったが、「とりあえず投げとけ」という気持ちでマウンドへ。この開き直りが功を奏したのか、前日の試合で11点をたたき出したレッドソックスの強力打線を7回途中まで無失点に抑える好投で、チームの連敗を止めた。
救世主誕生にファンは総立ち
突如出現した救世主に対し、スタジアムに陣取ったファンはスタンディングオベーションでねぎらった。「6回3分の0で(マウンドを降りて)、拍手をもらったのは初めて」と井川は照れながらその場面を振り返ったが、ファンは井川がした仕事の大きさを十分に理解していた。
開幕からここまで、ヤンキース投手陣に明るい話題はまったくと言っていいほどなかった。度重なる先発投手の戦線離脱、守護神マリアーノ・リベラの不振、中継ぎ陣の崩壊、そして若手成長株カーステンズの負傷退場……。そんな先行き不安の中で、井川が見せたピッチングはファンの積もり積もったフラストレーションをぬぐい去った。